トップメッセージ

田中忠株式会社

代表取締役社長田中 亮輔

大量生産から付加価値の時代へ

北陸が「世界の合繊産地」と言われた時代が続き、北米やヨーロッパ、中近東への織物輸出も非常に盛んでした。日本自体が繊維産業で謳歌した時代です。
現在、生産規模としては縮小していますが、繊維産業で伸びていく地域自体が世界規模で時代とともに変化しています。繊維というのは、衣食住の中のひとつ「衣」を担っているので、世界から繊維産業が無くなるということはありません。
以前は大量生産の時代。現在は付加価値の高いものを作る時代。開発技術、生産技術、商品管理などのノウハウを積み上げ、世の中に認められるサービスを提供できる企業が、ここ福井でも存在感を発揮し続けています。
現在の田中忠は「小ロット多品種」に変化してきている。 量ではなく、付加価値の高いものを多様に生み出す方向になっていますね。

準備から織りまで。自社一貫工程が田中忠の強み

田中忠は、準備工程から織り工程まで一貫した設備体系を整えていて、設計書さえ持ってきて頂ければ、自社だけで完結できてしまう。ここが強みですね。染めは別ですが。万が一トラブルが起こっても、スタートから完成まで自社で管理できているので、早く原因究明が行えるんです。もちろん対処も早くなります。
ヨーロッパに営業にいくと、田中忠は高い評価を受けています。品質に厳しいヨーロッパで認めて頂けるだけの品質管理や納期管理。それは、技術の蓄積、積み重ねを行ってきたからこそだと思っています。
品質向上のために、設備更新には力をいれています。設備が陳腐化してくると品質に影響してきますから。
新しい機械で効率よく高品質の商品を生産出来れば、お客様にとってもメリットがあります。これも田中忠の大きな強みだと思います。

成長のカギは「人」

企業の成長において、まずは存続していくことが大前提としてあると思っています。
存続ということで、今一番大事なのは「人」、人材です。現在の管理職や中堅社員、更にもう1つ下のセクションに所属する人までが、田中忠のノウハウ、技術を継承していくこと。中核になる人材をいかに確保していけるかが、1つの成長のカギになってくる。「成長=拡大」ではなく、継承する人がいてくれれば、産地が縮小していく中でも生き残っていけるし、成長に繋がると思っています。
今後のビジョンとしては、田中忠としてこれまで継承してきた「委託加工」。その「委託加工」の強みを更に強化していきたい。以前の委託加工であれば、依頼されたものを作る技術だけあればよかったんです。
現在は、委託加工にプラスアルファの「提案力」が求められている。お客様もより「売れる」製品を求めています。田中忠は最終商品を作っている会社ではなく、「衣」の素材を作る会社です。エンドユーザーに直接販売するのではなく、エンドユーザーが求める最終商品を生み出すために欠かせない素材を田中忠が提供する。それも一種の自販に繋がると思っています。
商品開発への注力はもちろん、お客様にプレゼンする力も付けていかないといけない。この部分も「人」が大事なんですよね。

第一印象だけで決めつけない

趣味というと、スポーツが好きで、ゴルフをしています。気のあった仲間と楽しめる時間が息抜きになっています。
大切にしている言葉というか、私は直感で動くタイプなので、反対によく考えるという「熟慮する」ということを自分に言い聞かせていますね。
熟慮することに繋がりますが、人と関わる上で気を付けていることは、第一印象で決めつけないということです。
どんな人にも良いところがたくさんある。だから第一印象だけでは決めない。見た目だけ、人から聞いた話だけでは判断できない。話してみないとわからない。普段から、話をするようにしています。

凄いものをつくっているという自信を

生産工場は、同じ機械を相手に毎日製品を作り続ける場所です。田中忠は、最終製品を作っている事業ではないので、製品として見えてこない部分もあって、刺激が少なく感じる部分も確かにあるかもしれない。
しかし、実際はヨーロッパの有名ブランドや、国内の有名アパレルメーカーに出している生地もたくさんある。田中忠のスタッフも自社の生地が使われている最終商品を、知らないうちに身に着けている場合もあるんです。
自分達が生み出している素材が、世の中で求められていること。凄いもの、凄い素材をつくっている、という事実を意識して自信をもってほしいですね。それは、新しく田中忠に入社する若い人達にも、感じてもらいたい。これからの田中忠は、若い人にも責任のある部分を任せていく形になっていきます。
本人の頑張り次第ですが、早くに大きな仕事を任されることもあるので、やりがいやチャンスがある環境であることは間違いないです。